第1章 その死神、依頼
「「悪魔?」」
「ええ、なんでも最近下界で魂を貪り食っているみたいで...」
仕事終わりに管理課に呼び出された私とグレルは、ウィルから悪魔についての話を聞いていた。
「で、そいつをアタシたちがぶった切ればいいわけ?」
グレルが横で退屈そうに髪を弄りながら聞く。
「ええ」
ウィルが、悪魔に関する書類を私に渡しながらそう言った。
「でも、悪魔一匹ぐらいなら、1人で十分なんじゃない?」
「それが、上級の悪魔らしいのです。」
「上級の...悪魔......」
私は、その言葉を小さく呟く。
今まで回収作業中に悪魔に遭遇したことは何度かあるが、どいつも下級の雑魚悪魔だった。
上級の悪魔と聞いて思いつくのは以前にグレルが言っていた「セバスちゃん」ぐらいだが...
「では、そういうことですので、明日その悪魔が現れるであろう現場に行って、早急に始末してください。」
ウィルが、淡々とそう告げる。
「アタシだって仕事があるのに、上級の悪魔退治を2人でやらせる気?」
グレルが不満そうに講義する。
「では、もう1人増援を...そうですね、ロナルドを向かわせます。」
「ロナルド......まぁ、いいワ。2人よりはマシね。」
「では、お願いしますね。」
そう言ってウィルは、パソコンへと目を戻した。
薄暗い廊下をグレルと2人で歩きながら、先程の悪魔について話をする
「あ~あ、明日は忙しいのに...さらに忙しくなっちゃったなぁ」
「しょうがないワよ、ユキ。それに、久しぶりに強い相手とやり合いが出来そうで、アタシわくわくするワ♡」
「相変わらずだね、グレル...(笑)」
まったく、グレルは一度スイッチが入るとこうなっちゃうんだから...と呆れつつ苦笑いをする。
「でも、この辺りに上級悪魔が出るなんて、珍しいわネ。」
「うん...」
「まぁ、何にせよ、このアタシが思いっきりぶった切って、真っ赤に染めてあげるワ♡」
「ははは...」
私はグレルに本日2度目の呆れと苦笑いを向けた...