第3章 後日談。
後日談。
「昨日は、結構疲れましたね…」
雪乃が、ぐったりとした表情で部屋から出てくる。其れを見ながら土方も、
「だな…今日二人とも非番でよかったぜ…」
と、同じようにぐったりして出てきた。
すると、不意に土方が
「此れ…出来るだけたまに、やるようにしようぜ。」
といった。何故?、と雪乃が首をかしげると、
「や、したくないってわけじゃなくてさ。…5日間も我慢してたら、仕事が手につかなくなっちまう。」
と、少しそっぽを向きながら言った。
其れは、雪乃も同じだった。
5日間の間、仕事がいつもよりも進まず、山崎に手伝ってもらっていたからだ。(と、いってもそのほうが逆に進まなかったのだが。)
「…私もですよ。でも、やってみると結構気持ちよかったですし。また、やりましょうね。」
雪乃は、満面の笑みで土方に言う。流石に其の笑顔にはかなわなかった土方も、うんと言わざるを得なかった。
「ほ、ほら。もう食堂着くぜ。」
恥ずかしさや雪乃への気持ちをはぐらかすように食堂へ入ると、なにやらざわついている。
二人が朝飯を持ってきて座ると、沖田と山崎が
「昨日、全く眠れなかったんでさぁ。」
「俺もですよ。」
と話していた。
「一晩中、盛りのついた狗とネコがわんにゃんわんにゃん…
あ、犬のほうが声が大きかったでさぁ。猫は必死に声を抑えてたみたいだぜ?あー、殺していいかな、犬を。」
と沖田が言った。すると、山崎が
「そりゃ、迷惑ですねー。でも、殺すのはアレだから水を掛けるだけにしておきましょうよ。盛りのついた動物には放水が一番ですから。」
と、言って白米を口に運ぶ。
そして、土方のほうを見ながら
「ねぇ、土方さん?」
「ねぇ、副長?」
と笑っていったのであった。
雪乃と土方は、引きつった笑みを浮かべつつ黙々と飯を口に運んだ。