第3章 出会いと再会
ー春
桜の舞うなか、茶色の腰ほどまである長さの髪をなびかせる一人の少女が
新設校、誠凜高校の門を潜ったー
『よしっ!心機一転!頑張るぞ!!』
両手で拳をつくり、1人意気込む少女は銀城椎菜。銀色の髪と瞳が特徴の女の子だ
今は訳あって、茶色のカツラにこげ茶のカラコンをつけているが…
その容姿に目をつけて大勢の勧誘が椎菜の所に集まってくる
「テニス部どうですか?!」
『え?』
「ラグビー興味ないっっ!?」
『あのっ…』
「野球部マネとかどう?!」
『…っ』
『もうっ!!私はどこにも入る気ないんです!!!』
騒がしかった校門前に椎菜の一際大きな声が響き渡る
そして、その声に気づいたのか、
水色の髪の男の子がこちらを振り返る
数秒、眼があったあと、先に視線を反らし、駆け出したのは椎菜の方だった
『…っハァッハァ』
『な、んで…!
テツ、ここの高校だったの?』