第6章 姫巫女と入学式

「ボーンズ、スーザン！」

　呼ばれたスーザンが椅子へ座って帽子を被ると、『ハッフルパフ！』と寮の名前が叫ばれる。

　続いてレイブンクローに決まった生徒が、左から二番目のテーブルへ迎えられた。

　次の生徒もレイブンクローで、その次に呼ばれた「ブラウン、ラベンダー」が初めてグリフィンドールに選ばれた。
　彼女は一番左端のテーブルへ招かれる。
　そこには、ロンの双子の兄である、フレッドとジョージの姿があった。

　次の生徒はスリザリンへ迎えられる。

「ねぇ、シオン。気がついた？」

「どうしたの、ハリー？」

「うん。あのさ、寮がすぐに決まる子と、決まるのに時間が掛かる子がいるみたいだ」

　そう言われて組分けを見ていると、ハリーの言う通りのようだ。

　大広間に入るとき、ハリーの前を歩いていた黄土色の髪の少年「フィネガン、シェーマス」は、一分ほど椅子に座っており、ようやくグリフィンドールへ決まった。

「グレンジャー、ハーマイオニー！」

　名を呼ばれたハーマイオニーは、ウェーブのかかった栗色の髪を靡かせて、パタパタと走るように椅子に座り、帽子を深く被る。

『グリフィンドール！』

　叫んだ帽子に、「同じ寮になりたくない」と言っていたロンが呻いた。

「シオン……僕、どうしよう……もしどこの寮にも選ばれなかったら……」

　ハリーが小声で不安を漏らす。

「大丈夫。ハリーがどこの寮にも選ばれないなんてないよ。むしろ、わたしの方が……」

　勇敢さも忍耐強さも、知恵も狡猾さも……自分は何も持っていないのだ。

　もし、どこの寮にも選ばれなかったら、家に帰されるのだろうか。
　それならそれでも悪くないと、そんなことを考えてしまう。