• テキストサイズ

ハリー・ポッターと龍宮の姫巫女

第16章 姫巫女と真相への一歩


「《ニコラス・フラメルは、我々の知る限り、『賢者の石』の想像に成功した唯一の者》!」

 しかし、ハリーとロンは互いに顔を見合わせて首を傾げた。

「『賢者の石』って? ロン、知ってる?」

「ううん、聞いたことないよ。シオンは?」

「わ、わたしも……」

 そんな三人に、ハーマイオニーは呆れた視線を向けてため息を吐く。

「まったく、もう。三人とも本を読まないの?」

『……「賢者の石」……錬金術師の求める究極の物質だな』

「月映さま……!」

 黄金の身体をしならせながら現れた月映に、ハーマイオニーは「その通りよ」と頷いた。

「ほら、ここ……読んでみて」

 三人に本を向け、彼女は指で文章を示し、周りを意識しながら小さな声で読み上げる。

「――《『賢者の石』は、いかなる金属をも黄金に変える力があり、飲めば不老不死になる『命の水』の源でもある。現存する唯一の石は、著名な錬金術師ニコラス・フラメル氏が所有しており、彼は昨年六六五歳の誕生日を迎え、デボン州でペレネレ夫人(六五八歳)と静かに暮らしている》」

 読み終えるタイミングで、ハーマイオニーは「ね?」と三人を見た。

「四階の右側の廊下にいた三頭犬――フラッフィーだったかしら――が守っているのは、フラメルの『賢者の石』に違いないわ!」

 彼女の推測にはシオンも同意見だ。
 おそらく、ニコラス・フラメルは友人であるダンブルドアに保管を頼んだのだろう。

「金を作り、決して死なないようにする石! スネイプが狙うのも無理ないよ。誰だって欲しいもの」

「ハリー、待って。スネイプ先生が狙ってると決まったわけじゃ……」

 ない、と続けようとしたシオンの言葉は、ガタンッという音に遮られた。

 振り返って確認すると、そこにはネビル・ロングボトムの身体を支えるマリア・クレイミーとシャーロット・ルシアーノ、珍しく不安そうな表情のシェリル・ヒルトージュの姿がある。
/ 362ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp