• テキストサイズ
前へ しおりをはさむ 次へ

我慢できない!【切原赤也】

第1章 ▲


いい子だね。
そう言ってくれるのはスゲー嬉しいけど、いつも少しだけもやもやしちまう。俺と先輩の間には一歳という絶対に超えられない歳の差があって、そのせいで俺をちゃんと男として見ていないんじゃないかと時々むしょーに不安になる。
こんなこと部活で話したら、あの非歳相応の先輩方に馬鹿にされるに決まってるけど、俺の中ではなかなか大きな問題で...
「...ねぇ、先輩」
「どうしたの?」
「いい子、ってなんスか?」
いい子じゃなかったら先輩は俺のこと嫌いになっちまうのか?なんて考え出したらどんどん胸が締め付けられて思わず先輩の手をぎゅっと握った。俺より小さなその手は柔らかくて、少し困ったように俺を見つめるその顔は可愛すぎる...!これが俗に言う、食べてしまいたいほど可愛いってやつか
「俺は!先輩が好きだから...っ、いってぇ!!?」
”もっと男として見てくれ”
そう口に出そうとした時、何かが頭上に落ちてきた。痛みに耐えながら振り向くと、そこには見覚えのある赤と銀とおまけに茶色
「そういう告白はもっと人がいねぇとこでやってくんねぇかな?」
「...なんで先輩方が」
「...えっと、赤也くんここ」
恥ずかしそうにしている先輩はたまら...ってそうじゃない。ぐるっと周りを見渡すと、こっちをちらちら見ている複数の立海生達。
「校門で彼女に迫る姿をお披露目とは、さすが次期部長は見せつけてくれる」
「...赤也、お前ってやつは」
「幸村くん達じゃなくてよかったなぁ」
「...ッス」
パチンとガムを破裂させた丸井さんに続いてひらひらと手を振って去っていく先輩方。ちらりと先輩を見ると、頬を赤らめながら俯いている(すっげーかわいい)悩みすぎて周りを忘れるにもほどがあるだろう!俺!!先輩を困らせちまうだなんて...!こんなんだから一人前の男として見てもらえないんじゃねぇか...
「先輩、本当にすんません!」
「だ、大丈夫だよ!ちょっと恥ずかしかったけど...」
あはは、と笑ってくれる先輩の優しさが身に染みる。
あぁ、もういい子でいっか
そんな気持ちで歩き始めると、先輩が小さな手を俺の手に絡めてくれた。それだけで天にも登りそうなくらい嬉しいのに、先輩はちょいっと俺を手招きした。
耳、貸せって?
「...続き、うちで聞いてもいい?」
「......!」

前言撤回。やっぱいい子でいられそうにないや。
前へ しおりをはさむ 次へ
/ 1ページ  
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:なごんだエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白い
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp