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そんな夏の日【菊丸英二】

第1章 ▲


あー、もう夏だなぁ。

真っ青な空めがけてぐんと伸びをして、大きく出そうな欠伸を噛み殺した。
コンビニへアイスを買いになんてそんな口実をつけて、私の足は日頃行き慣れた道を行く。
「......すごいなぁ」
こそっと見て行くだけのつもりだったのに、いい音を鳴らしながらコートでラリーを続ける我が恋人に思わず感嘆の声をあげてしまった。
「あー!清じゃん!!」
.......やばい見つかった。
ラリー相手の大石に申し訳なくてチラリと視線を向けるとあははと笑いながらこっちを見ている。
「どったの!?」
「いやー......アイス買いに行こうかなぁと思って」
「へー?ほーん?」
完全に信じてないって顔で見られてる。
あー、もう恥ずかしい。
「......ちょっと、えーじを、見に」
「にゃはは!素直でよろしい」
フェンス越しの英二は普段見るよりキラキラ輝いてて、なんだか少し恥ずかしくなってしまう(多分汗と太陽と部活効果)


「あっ!英二先輩のカノジョさんじゃないっスかー!!」
「ドーモ」
「桃!おチビ!へへーん、いいだろぉ」
「わざわざ休みに練習見に来るなんて愛っスねぇ!」
「でっしょー?ラブラブだもんねーっ!ぶいぶいっ」
「......ちがっ!アイス買いにきたついで!ついでに少し寄っただけだから!」
「言い訳下手すぎでしょ」
「ちょっ......!えーじ、恥ずかしいからぁ!ほらとっとと練習に戻って!!」
「ハハッ、ほら英二、上城が困ってるだろ?練習に戻るぞ」
「ちぇー、ほいほーい」

大石に促されてようやく私から背を向けた一行に胸をなでおろす。
練習の邪魔しにきたわけじゃないし、ちょっと覗きにきたのがこんなに恥ずかしい思いすると思わなかった。

(......ふぅ、アイス買って帰ろう)

「清ーっ!」
「?」

呼び止められて振り返るとぶんぶん手を振る英二と呆れて半笑いの大石と後輩くんたち。
う、なんか嫌な予感がする。

「だーいすきだよーっ!」
「っ!恥ずかしいわバカー!」
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