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【YOI夢】ファインダー越しの君【男主&オタベック】

第2章 グレースケールではないモノクローム


「…お前、何やったの?」
「ちょっとからかい過ぎて怒らせただけだ。彼は悪くないよ」
濡らしたハンカチを頬に当てながら、守道は気の抜けた声で呟く。

あの後。
守道の間抜けな悲鳴を耳に体勢を起こしたオタベックは、彼に脱いだエプロンを投げ付けると、足早に部屋を出た。
丁度その時部員から出来上がった写真とネガを渡されたので、短く礼を言って受け取っていると、部屋から守道が飛び出してきたが、オタベックは構わず帰り支度を始める。
「駅まで送る」という守道に「タクシーを呼ぶからいい」と拒否すると、極力彼を見ないようにしながら、スマホから配車のアプリを起動させた。
運良く大学近くにいた車を掴まえる事が出来たので、オタベックは上着を纏いつつ部室を後にする。
「待って、写真忘れてる!」
クラブ棟の玄関を抜けた所で、背後から響いた声にオタベックは足を止めると、こちらに駆け寄ってきた守道を振り返った。
彼の腫れ上がった頬に視線を反らそうとするも、その原因を作ったのは他でもない彼なのだと思い直すと、努めて無表情のまま差し出された袋を受け取った。
「…すまなかった」
「…何故、あんな真似を」
「あの時は君の温もりと、君自身に引き寄せられた…としか言えない。とにかく悪かった。もう二度としない…といっても、もう二度と会う事はないだろうしね」
そんな守道の言葉に、何故かオタベックは僅かに胸が傷むのを覚える。
「気を付けて帰ってくれ。君はともかく、俺は今日君と一緒に過ごせて楽しかったよ。最後を除いてね」
変わらぬ口調で言う守道に、オタベックは写真の入った袋を抱きしめながら、徐に口を開いた。
「俺も…貴方と沢山写真の話や作業をしたのは、本当に楽しかった。先程も、俺を助けてくれた事には礼を言う。だけど…」
それ以上言葉が続かなくなったオタベックは、再び守道から背を向けると、半ば逃げるようにタクシーの待ち合わせ場所へと走り去った。

「そういや、彼のフィルムの中にお前が写ってるのがあったから、追加でプリントしといたよ」
「勝手に何やってんだよ」
「結構イイ感じに撮れてたからさ。あの子、何気に撮るの上手いよな」
部員から2枚の写真を受け取った守道は、そこに写る自分の姿に目を丸くさせた。
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