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【ヒロアカ】コスミックロジカル【裏】

第7章 しんどすぎる


「あ、君!すぐそこで通報があったの知ってる!?」
角を曲がった瞬間、先生は立ち止まり、そして、珍しく、本当に珍しく、焦っているのが伝わった。
私を支える腕が一瞬だけ、ぴくりとしたから。
前を見ると、骸骨のように細い男性がいた。
「なんか男の子みたいな格好の女の子が拐われそうになったらしくて、すぐに誰かが捕縛したらしいんだけど……」
「……」
「………」
「まさか」
「…………」
「ち、違います!!私は、あの、先生の親戚で!」
「親戚…せんせい?」
(はぅ!!!墓穴!!!)
「ええっと……」
何か言い繕うと必死に考えたけれど、そんなすぐには何も浮かばない上に、本当に珍しく動揺してる先生の横顔は、すっかり青かった。
(先生!しっかりして!)
私の失言で、彼は言い訳などを完全に諦めているようだった。

骸骨みたいな人は、同じく教師をしている、ということだけを教えてくれた。
ざっくり今までの経緯を聞くと、うんうんと頷いて納得してくれてはいるようだ。
「なるほどね。
でも、バレたらどうするつもりだったの?」
「……」
先生はどうしようもなかった、とでも言いそうな雰囲気だった。
全部私のせいだ。
「先生、ごめんなさい…私、やっぱり…」
「いや、俺も考えが甘かった。
それでも…」
「うん、だからさ、入れちゃえばいいじゃん?
学校の寮に」
「は?」
「え?」
ほぼ同時に私と先生は声を出して顔を見合わせた。
「それこそ本当にまずい。
コイツは素人以下で、しかも戸籍なんかも…」
「そこらへんはもう、どうにかして、とりあえず普通科にでも入学したらいいんじゃない?」
「……」
(いいんじゃない…?)
あまりの軽はずみな提案は、その場の電話一本でなんなく解決し、私は新たに、寮の空き部屋を貰えるということになった。
「何事もまずは、報告連絡相談だね!」
「……」
先生は深く頭を下げ、感謝の意味を捧げる。
私も横で同じことをした。
「君にいなくなられると、困る人が沢山いる。
しかも、人助けをしたのに、なんて、悲しいだろう?」
改めてお礼を言って、私たちの部屋は、やっと静けさを取り戻した。
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