第7章 しんどすぎる
そう覚悟したのに、私は先生の腕の中にいて、包帯のような長い布で、二人の大きな怪人を捕まえていた。
「せんせ…」
呼び掛けようとしたら、手のひらで口を被われ、しっ、と合図される。
怪人達はずしーん、と大きな音を立て、地面に落ちた。
すぐに警察と他のヒーロー達が集まった。
店員さん達が事情を話す声が聞こえる。
「すぐ帰るぞ…」
「え?いいんですか?」
荷物を持って、先生が少し慌てるように私に促す。
事情徴収とか、いいのかな?と考えている間に、
「あ!あの人です!あの髪の長い人が!」
「ちっ」
(舌打ち!?)
店員さんがせっかく説明してくれているのに、まさかの態度に凄く驚いた。
「逃げるぞ!」
「ちょ、まっ…」
先生は大量にある荷物と私を抱えると、凄い速さでその場から逃げた。
(あ、そっか)
私がいるから、まずいのか…。
ましてや、拐われた私が捕まって事情を聞かれるのは更にまずい。
やっぱり、私、邪魔なんだろうな……。
少しだけ、寂しくなる。
やっと見つけた落ち着ける場所。
またなくなってしまう怖さが少しあった。
遠退く景色を見て、なんとなく、なんとなくだけど、お互いに近くなった存在であるのかと改めて認識した。
私は、先生の傍にいたいと。
そんな風に、思ってしまった。