第3章 その心は
私の旦那様、鬼龍紅郎はアイドルをしています。
「今日は何を見ようかな…」
紅郎くんが泊まりがけの仕事に行っている間、私は仕事から帰ってご飯とお風呂を済ませてからよくテレビを観ている。と言っても、紅郎くんが出ている番組やこれまで録画した分と紅郎くんが所属しているユニットである紅月のライブビデオだ。
実は、紅郎くんとは幼稚園から中学までは一緒のところで片思いもしていた。でも、高校からは同じ夢ノ咲学院でも学科が違うこともあって、会っていなかった。それがまさかアイドルを目指していたのは知らなかった。高校の頃にテレビや学内のイベントで紅郎くんを見るようになってから出ているものの録画や情報を欠かさなかった。
大人になってからちゃんと再会したけど、紅郎くんの方は覚えてないみたいだったからそのへんは言わずにいる。きっと言ったら謝られることが目に見えていたし、謝られたいわけじゃなかったから。
「久しぶりにこっち見ちゃおうかな…」
それでもなにはともあれ、こうして紅郎くんと結婚出来てしまったわけだ。
今日は高校時代に紅郎くんが教師役で出演した学園ドラマをみようと思う。なにせ明日は私のお仕事はお休みのシフトだからドラマを1話から最終話まで見ることが出来るのだ。
飲み物の準備をして、デッキに当時ダビングしておいたディスクをセットしてドラマを再生した。腕には大きな紅郎くんのおまんじゅうクッションを抱えてだ。
「……なんで高校生でこんなに色気あるんだろ」
紅郎くんの役は毎回どこかしらに出たりするし、ドラマの内容も面白いから全部見るんだけど当時の紅郎くんは高校3年だ。身長も高いのもあると思うんだけど、なんだろう本当に。テレビやライブを高校の頃から見てて常々思う。
なんであんなに色気があるんだろうかと…
「やっぱり経験豊富とか? んー…」
中学の時はカッコよくなってきたなって思った。不良だったけど、根が優しいのは変わらなかった。だから紅郎くんに惹かれていたわけだし…
考えられるとしたら、高校から何かあったとしか…彼女がいたとか? 紅郎くんカッコいいからありえそう…これまで彼女がいたかとか好きな人が他にいたとか怖くて自分から聞けたことないけど…でも…
「んー…」
「なに唸ってんだ?」
「へ?」