第15章 であい
「……全部だな」
「全部か」
「あぁ…気づいたら自分でも驚くくらいに惚れ込んじまってたからな」
「なるほど…それを聞いて安心した!」
守沢は笑顔で納得したと言い、次の仕事に向かおうとしていた。するとまた俺の方に向き直って笑顔でこう言った。
「お泊まり会で聞いたが、水瀬さんは小学校から鬼龍一筋だそうだ。よかったな!」
笑顔の守沢を見送ると、俺はその場でしゃがみ込んだ。
まさかそんな前からあやに惚れられていたなんて、本人からも聞いたことがなかった。それに守沢やその嫁さん相手に嘘をつくような奴じゃないから事実なのだろう。
その事実が嬉しくて、今すぐにでもあやを抱き締めたくなった。