第14章 不意打ち
後片付けと着替えをしている時に、あやの足に目がいった。そういえば抱き合う前にペディキュアをしていたのを思い出した。俺よりも小さな可愛らしい足の指先には白い花が描かれていた。本職とはすごいものだと毎回思う。
「大丈夫そうだな…」
もしさっきまでの情事でせっかくのペディキュアが台無しになっていたらどうしようかと思ったが、そもそも動かしたのは足を開かせたときだけだったのが幸いしたようだ。
「にしても、あれはやばかったな…」
あやに布団を被せながら思い出すのは、さっきまでの発言だ。酔っていなくてもその快楽にあやが委ねてしまうと発言が大胆になる。俺が欲しいとか自分からくっついて言われた時なんてせっかくゆっくりを楽しもうとしたのに気づけばあやを激しく貪っているのだ。
「ん…くろうくん?」
「あぁ、悪ぃ。起こしたか?」
「ううん…」
珍しくあやが眠たげに瞼を開けた。いつも情事の後は疲れきって眠り込んでしまうのに珍しい。あやは俺の姿を確認すると、俺の手に自分の両手を重ねた。
「まだねない?」
「どうした? 嫌な夢でも見たか?」
「ううん…いっしょにねたかっただけ…」
そう言って手を離そうとするものだから、そのまま俺は布団に入って抱き締めて頭を撫でた。
「もう寝な。一緒に寝るからよ」
「うん…ありがと…」
程なくしてあやの寝息が聞こえて、俺もあやの心地いい温もりを感じながら寝た。