第13章 のんでのまれ
「あの、聞きたいことがあるんだけど…」
「どうしたの?」
「……?」
「あのね、みんな旦那さんとセックスってどのくらいするの?」
仕事終わりに高校の頃から仲良しの友達と夕ご飯を食べてたら、とんでもないことを聞かれてしまった。幸い個室の居酒屋さんだったからよかったものの…
「ど、どうしたのっ、急に…!?」
「一旦落ち着こ…?」
「ご、ごめんね、変なこと聞いて…実は、最近なずなくんとそんなに出来てなくて…」
「あー…仁兎くん、今日もレッスンの予約いっぱい入ってたからな…」
桜乃ちゃんの旦那さんは仁兎なずなくん。高校時代はアイドル科で活躍していた猛者の1人で、今は夢ノ咲学院で教鞭をとっている。
「やっぱり、忙しいよね…美咲ちゃんも今日無理してない?」
「今日はちゃんと用事があるからって前もって言ってたから大丈夫だよ。私より2人の方が大変じゃない? あやちゃんは人気美容師だし、桜乃ちゃんは注目のピアニストでしょ?」
「私はそんなに人気じゃないよ?」
「注目って、まだまだ言われるレベルじゃないよ?」
桜乃ちゃんは音楽教室で講師をしながら、ピアニストとしてコンクールに出ている。この間もコンクールで入賞してテレビでも取り上げられていたのを見た。
「仁兎くんも桜乃ちゃんの体調考えてると思うよ?」
「うん…でも、なずなくん、カッコイイし、優しいから、結婚してもいつ他に好きな人ができるんじゃないかと思うと不安で…」
「それでセックスの頻度で比較するのもどうなんだろ…?」
「でも、私も千秋くんと、その、する時って…結構曖昧だからな…」
「そうなの?」
「千秋くん、仕事の関係で地方に撮影とかよくあるし、週一で出来たらいい方というか…」
「……週一?」
「あやちゃん?」
たしかにうちもお互い仕事のことがあって会える時間は少ないけど、地方に行ってない限りはなんだかんだで帰る時間がかち合う時とかご飯もお風呂も一緒に済ませちゃうから…その時の流れでやるから…
「最高で…週4?」
「え?」
「………え? あやちゃん、旦那さんって鬼龍くんだよね? 大丈夫? 壊れてない?」
「大丈夫だよ? 紅郎くん、優しいし、それに…」