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乱世の華

第1章 恋の始まり


20××年、京都の街...。

(ひとり旅って初めてだけど、気楽でいいなあ!)

私は夜の街を散歩しながら、大きく伸びをした。

この京都旅行は、転職が決まった自分へのご褒美だ。

(休暇が明けたら、憧れだったデザイナーになれる...。勉強続けてきて良かった。新しい職場で頑張るためにも遊び倒そう!)

弾む足取りで歩きながら、バッグから一冊のガイドブックを取り出す。

(『イケメン武将トラベルガイド』...タイトルが目立ってつい買っちゃった。武将にゆかりのある、京都の名所情報も載ってたはず...)

パラパラめくると、歴史上の人物の紹介ページが目に飛び込んできた。

『一騎当千、真田幸村』

(あ、この名前、知ってる。何した人なのか覚えてないけど...。学生時代、日本史のテストは毎回ぼろぼろだったからなぁ)

『独眼竜、伊達政宗』

(この人も知ってる。よくドラマ化されてる人だよね。『独眼竜』って呼び名、かっこいい...。でも京都の人じゃないな)

舞「ええっと、この辺の名所の案内ページは...」

(あった!『本能寺の石碑が建っています。』か)

『第六天魔王、織田信長』

本能寺跡地の地図の横には、かの有名な戦国武将の紹介も載っていた。

(さすがに私もどんな人か少し覚えてる)

『天正十年(1582)、明智光秀に裏切られ織田信長は自害し、本能寺は焼け落ちました』

(『1582年、いちごぱんつの本能寺の変』ってテスト前に年号覚えたなぁ)

懐かしく思い出しながら、私は地図を頼りに本能寺跡地へ向かった。

(跡地って......これだけ?思ったより小さな石碑だな)

足を止めたとき、一人の男性が歩み寄ってきた。

舞「............」

彼は私のすぐ隣で足を止め、石碑にじっと見入っている。

(真剣な顔...。白衣来てるけど、お医者さんには見えないな。大学生かな?)

何気なく彼を横目で見ていると、冷たい雫(しずく)がぽつっと鼻の頭を濡らした。

はっとして空を仰ぐと、いつの間にか雲に覆われている。

舞「あ......」

小雨が降りだし、あっという間にどしゃ降りになる。

???「っ......弱ったな」

舞「天気予報は晴れだったのに...!どうしよう」

???「大丈夫ですか?傘、ありますか」
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