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平凡で平穏で。

第2章 合宿


ピーンポーン ピーンポーン

…来た
私は戸惑いなく扉を開ける
時間通りに来るところが風紀委員長らしいよな
そこに居たのはシャツにジーンズとシンプルな格好の奏だった
見慣れない私服に微笑みがもれる

「お迎えにあがりましたお嬢様。」

彼は私のワンピース姿を見てそう言う
着替えが間に合いそうに無かったからこれにしたのだが割と良いものだ
淡い黄色のこの服はいつかの誕生日に僅かしかいない友達に貰ったもの
白い襟にスリーブがフリルと少し大胆
それに合わせたピンク味がかった白のバッグ
それに夏らしいマリンブルーのネックレスをプラスしてみた
あまり露出するのは好きでは無いため、これくらいが丁度よい
スカートは抵抗があるがワンピースは大丈夫なんだよな
我ながら謎だ

「ご苦労様です警官」

ピシッと敬礼を決めてみる

「世界観どうなってるんですか。」

呆れた突っ込みを入れられた
警官ってキャラじゃーん、奏は。と自分でも意味不明なことを言いながら彼に背を向けて部屋の鍵を閉める
振り向いて靡いた髪の毛を落ち着かせると見計らったように奏が横に立った
そして何を言うでもなく2人歩き出す
無意味に話すような距離感でもない
コツコツと私の靴の音がこだました
嫌いじゃないんだよな この感じ

「…そういえば。俺と2人で買い物に来て良かったのか?」

2人で目指していたデパートの前
ふと思い出したように奏が言う

「なんで?」

「いや、彼氏さんに怒られないかと思って。」

ガラス扉を開けエスコートしてくれる
店内に入ると、休日らしく人の声でざわめきたっていた
奏は私より1歩前に出て、ふさわしいお店を探してくれる
女性慣れしてるよな

「大丈夫でしょ」

私は根拠の無い一言を残して、奏について行く
すると彼はそれに過剰に反応した

「ならいいけど。俺は怒られたくないからな。」

「でも誘ったのは奏」

「それ言われたらおしまいだな。」

彼はクスッと笑って見つけた雑貨店に私の手を引く
手袋越しの手は思ったより男らしくゴツゴツしている
でも流石ピアニスト、指が女の子波に細い
入ったお店、そこには宿泊用の雑貨がズラっと並んでいた
全てパンダがモチーフにされた可愛らしいものばかり

「女子力高っ」

「優香っぽいと思うけど。」

まぁそうかもしれない
私は気になった1つの雑貨を手に取った
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