第6章 壁外調査に向けて
入団してから早数週間が過ぎた頃、次の壁外調査の日程が決まった。
ウォール・マリア陥落以降、調査兵団の主目的となっている平坦拠点づくりを行うためである。
この間ライデンが調達してきたと言っていた物資を道中に配置し、来るウォール・マリア奪還作戦に備えるのだ。
決行は一ヶ月後。
調査の日程とともに班編成も発表されて、私は次列の伝達班へと配属されることに決まった。
新兵なので、巨人との遭遇率が比較的低い安全な配置だ。だが油断はできない。壁外では、どの配置にいても巨人と遭遇する可能性があるのだから。
巨人の絵を描くためには巨人を観察しなければいけないけれど、生きて帰ってこられなければ意味がない。
なりたてホヤホヤの新兵である私は、生きて帰ってくることをまず一番の目標にしなくてはいけない。
そんな訳でこれからの一ヶ月間は、壁外調査に向けての訓練で忙しくなる。
まず今日から始まるのは、数年前からエルヴィン団長が運用し始めた「長距離索敵陣形」についての講義だ。