第5章 幼馴染
「何でお前、ここに?!まさか、調査兵になったのか?!」
「そうだよ!この間の入団式で挨拶したでしょ!見てなかったの?!」
「見てない!」
「何でっ!?」
ポンポンと、幼馴染ならではの気安さで、私たちははしゃぎながら言葉を交わした。
ライデンとは家が近く同い年だったこともあって、それこそ乳幼児の頃から一緒に遊んだ仲だ。
特別ヤンチャな訳ではないけれど、いつもハツラツとした明るさで笑うライデンは、まるで太陽みたいな男の子だった。
いつも夕暮れ時になるまで追いかけっこをしたりかくれんぼをしたりして遊んだ。
それに彼は、私が絵を描いているのをいつも飽きもせずに見ていて、多分私が家族以外に定期的に絵を見せていた唯一の相手だったと思う。
「俺は任務で内地に出かけていたんだよ。次の兵站拠点作りで配置する備蓄の手配のためだ。帰ってきたのは今なんだ」
「そうだったんだ」
とりあえずホウキを受け取ってから、改めてライデンの顔をまじまじと見上げた。
私は小柄だから、大抵の相手は私よりも背が高いのだが、ライデンは特別大きいように感じた。
体格的には中肉中背だけど、身長は180センチくらいあるみたいだ。昔は私と同じくらいだったのに、いつの間にこんなに大きくなったんだろう。
「…それにしても、随分と久しぶりだなぁ…。会うのは4年ぶりくらいか?」
「そう…だね。ライデンが12歳で訓練兵に志願して、その後、休暇で一回実家に帰ってきた時に会って以来だから…」
画家になること以外考えていなかった私は、当然ながら12歳を迎えた時に訓練兵団への志願などしなかった。
でも、ライデンは違った。駐屯兵団の兵士になって、家族や友人を守りたいと言って、少しの迷いもなく兵士になることを志願したのだ。