第4章 ハンジ分隊長
あまりにも真っ直ぐな瞳で見つめられて、私は一瞬、何を言われているのか分からなくなってしまった。
今、この人は私の絵を見たいと言ってくれたの?
「ダメかな?」
私が返事をしないことを、拒否の意と受け取ってしまったらしいその人は、しょんぼりと眉を下げて、差し出してくれていた手で頭をポリポリと掻いた。
「…っ!!とんでもありませんっ!もちろんですっ、描いたらすぐ、ハンジ分隊長のところにお持ちしますっ!」
弾けるようにして、私は返事をした。
聞き間違いじゃなかった。この人は、私の絵を見たいと言ってくれた!そんなこと、兄さんが亡くなって以来、誰からも言われたことがなかったのに!
「そうかっ!ありがとう、楽しみにしてるよっ!」
まるでボールを打ち返すようにして、ハンジ分隊長も弾けるような口調で言った。
一度は引っ込められた大きな手が再び差し出されて、私の手を力強くぎゅっと握ってくれた。
「これからよろしくね、ラウラ」
ニッと笑ったハンジ分隊長の顔は、まるで少年みたいに希望に満ち溢れていて、キラキラと眩しく見えたのだった。