《モブサイ》サギ師のあなたに脱がされて (霊幻/R18)
第5章 嫉妬とキスをかき混ぜて
《霊幻side》
「くそっ、頭が痛ぇ……」
俺はPCに向かいながらこめかみを押さえた。
今日は寝不足だ。原因は仕事。オンラインゲームの除霊作業のせいだ。
以前、ゲームの中に現れるという最強幽霊プレイヤーを除霊したところ、少し話題になり、ちょこちょこ同じような依頼が舞い込むようになった。
ん? 幽霊プレイヤーをどうやって倒すか知りたい? そうだな、必要なのは課金とプレイ時間だ。さらにいうなら、徹底的なレベル上げと複数アカウント。
あ? なに? そんなのは除霊じゃない? いや、誤解しないでくれ。もちろん俺の強い霊能力あってこその話だ。
「……にしても、昨日はゆめとの約束をキャンセルしちまったからな。ここのところ、ずっと一緒に過ごせていないし、拗ねていなきゃいいが……」
でも心配には及ばないだろう。それぐらいで気持ちの離れるあいつではない。このあいだのバレンタインでもしっかり気持ちは確認し合ったしな。俺たちは安泰だ。
「ふあぁ……。今日は客も来ないし、もう少ししたら早めに閉めて帰って寝るか……」
まずい茶を強引に喉に流しこむと、ニュースサイトに目を走らせる。ふと、ある記事に目が止まった。
「ん……? 調味市の柚子こしょう大学? これ、ゆめの通っている大学じゃねぇか。『女子生徒が何者かに襲われる事件が多発』? ふぅん、物騒だな……」
スクロールして下まで記事を読む。犯人特定を急いでいるがなかなか捕まらないこと、大学側が警備員の数を増やしたことなどが書かれていた。
「まぁ、ゆめは大丈夫だろ。あいつはここでバイトしてるから、遅くまで大学に残ったりしないしな」
そのとき、足音が外から近づいてきた。相談所のドアが開く。
噂をすればゆめだ。もうそんな時間か。
「おう、ゆめ。もう講義は終わったのか?」
いつものように声をかけると、ゆめは「はい……」と伏し目がちに答えた。
ん?
俺は手を止めた。
「どうした?」
「いえ、別に……」
歯切れが悪い。
「大学で何かあったのか? 相談なら乗るぞ?」
ゆめが顔を上げる。
「霊幻さん、わかってるでしょう……?」
え!?
俺は固まった。