第6章 アイヌコタン
初めて人を刺した罪悪感と疲労感から、私は大きな木の下にしゃがみこんでいた。
人の気配がしたので顔を上げると、百之助さんが立っていたので思わず抱きついてしまった。
「おいおいどうした?」
百之助さんは私の背中を撫でてくれた。
「第七師団が追いかけてきて、百之助さんの事殺すって言ってました。私の事も殺すって。見た事ない兵隊さんに襲われかけたので、その人を刺したんです。死んだかもしれない。」
百之助さんは黙って聞いてくれた。
しばらく抱きついていると、鉄の臭いがした。
百之助さんがケガをしていることに今さら気づいた。
「百之助さん!血が出てる!」
私は動揺した。そして自分のことしか考えていなかったことに気づき落ち込んだ。
「あぁ、とりあえず山を下りよう。またいつ第七師団が追ってくるかもわからないしな」
そう言って私たちは山を下りたのだった。