第1章 逃走した先は
….はい?
私は耳を疑った。結婚観についての紳士発言とは真逆の単語が聞こえたからだ。
「いや〜、自分の隣に現役女子高生が制服で座ってるってヤバいね!知らない子だったらダメだけど、アリスちゃんは婚約者だし、親公認でデートさせるくらいだから手出しても問題ないじゃんね。」
何度か彼とデートはしているが、キスどころか手をつないだことすらない。
その彼が山の中で私をギラギラした目で見つめている。
恐怖しかなかった。
「あの、私、初めてだから、こんな山とか車とかでするのはちょっと…」
パニックになりながらもしぼり出すように彼に告げると
「あー、たしかにここで初めてはないかぁ。
じゃあちょっとだけさせて!ね!」
ちょっとって何!?どれくらい!?
涙目なる私にお構いなしで彼は私の頬や髪を撫で、耳を触られた時には肩がビクっと震えてしまった。
「結構敏感なのかな?最後まではしないから大丈夫だよ」
そう言い、彼の手は私の胸と太ももを撫で始めた。
ヤダ、気持ち悪い!
そう思った私は彼を思い切り突き飛ばし、車を出て走り出した。
ここがどこかもわからない。でも逃げなきゃ!
そう思いローファーで山道を走った。
夢中で走っているうち、何かにつまづいて転んでしまい。立ち上がろうにも体が動かず、苦しい呼吸を繰り返しながら私は目を瞑ってしまった。