第6章 アイヌコタン
「アリス、お前案外体力あるな!」
百之助さんが関心したように言った。
そりゃそうよ、強盗と一緒に行動してたんだもの。
山の1つや2つ越えられないでどうするの。
「そうですか?まぁ山登りは好きですから」
適当な事を言って誤魔化す。
それよりも気になって仕方がないのが二階堂さんだ。
どこを見ているのかわからない目が怖い。
特に害はないからいいのだけれど。
歩いてしばらくすると、アイヌの村が見えた。
小樽でも時々見かけたが、村を訪れるのは初めてだ。
口に入れ墨をした女性たち、着物の柄も独特だ。
100年前まではこんなに普通に暮らしていたのか。
21世紀ではどうなのだろう?アイヌの人々の現状について私は何も知らない。この時代にきて、自分がいかに無知でのほほんと暮らしていたのかと思う。
百之助さんがアイヌの人に何やら話しかけて、私たちは家に入れてもらった。
谷垣という人はいないようだった。