第4章 第七師団
尾形side
数日後、俺は退院した。
アリスは悲しそうな顔をしていた。
心配しなくてもすぐに捕まえにきてやるさ。
軍には戻る気はなかった。アイヌの金塊、杉元、用があるのはそっちだ。
退院したのに戻らない俺にそろそろ気づく頃だ。
こっちもアリスの仕事が終わるのを待ってここから離れよう。
夜になり、ボンヤリとした顔でアリスが歩いてきた。
夜道を1人でフラフラ歩く姿を見て、危機感のなさに目眩がした。
教える事はたくさんありそうだ。
細い腕を掴んで路地裏に引き込んで少し脅かしてやるとアリスは泣きながら金はないと言ったので笑ってしまった。
俺だと気づくと軍に戻れと言ってきた。
もう軍に用はないんだ。一緒に行こうぜ?そう誘うと何やらごちゃごちゃ言っていた。
アリスの意思は最早関係ない。無理やりにでも連れて行くまでだと思って顔を見たら、思った以上熱い目をした女がいた。
本当に、もう後戻りはできそうもない。
そう思ってアリスを強く強く抱きしめた。