第3章 稲妻強盗
お銀side
アリスはやっぱり育ちのいいお嬢様で、鈍臭くて人を疑わないから目が離せない子だった。
本来ならあたしみたいな極悪人とは絶対に関わらないで生涯を終えるはずだ。
戸惑い、葛藤しながらもアリスはこの時代に順応していった。芯は強い子だ。
保護者になる気はないといったが、すっかり保護者が板についちまった。最初に可愛いと思った時点で負けだったのかもしれない。
脱獄した慶さんとの時間に溺れている間、アリスは大きな決断をしたようだ。
無理だと引き止めたが、かわいい子には旅をさせよ、最後は背中を押してやった。
この世には神も仏もないと知っているが、この子が幸せになりますように、生きてるうちにまた会えますように、そう願わずにはいられなかった。