第1章 パーティー
「…1つ、お聞きしてもよろしいでしょうか?」
「は、はい。」(まだ話すんだ…。)
「なぜソフィア様はあのような派手なドレスをお召しになられていらっしゃるのに、あなた様はこのようなドレスを?」
「!…」
何も言えなくなってしまった。引き立て役、などと言ったら、もし決まった契約が破棄されてしまうかもしれない。
言葉に詰まっていると、その人は目を見開いた。
「失礼いたしました。」
聞いてはいけないようなことだとわかってくれたようで、それ以上は追求してこなかった。
「い、いえ…そんな…。」
「あの…お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?私はセバスチャン。セバスチャン・ミカエリスです。」
「あ…えっと…ナツキ…です。ナツキ…ヘンリー…。」
「ナツキ様、ですね。ありがとうございます。」
ヘンリーのことを知らないのか、彼は瞳の色のことを何も言わなかった。
「…すみません、坊ちゃんのお話が終わったようなので、そろそろ…。」
「あ…はい…ありがとうございました…。」
私が小さくお辞儀をすると、ニコリと微笑み、伯爵のそばに行った。私も姉のそばに行った。
「…チッ…。」
「!…」
どうやら契約はできなかったらしい。姉は伯爵の方を見て、舌打ちをした。
「あ、あの…お姉様…。」
「何?」
「ぁ…な、なんでもない…です…。」
「はぁ?なんなの?言いたいことがあるならはっきり言いなさいよ。契約もできなかったの?使えないわね。って。」
「!…そ、そんなこと…。」
「良い子ぶってんじゃないわよ。どうせお父様とお母様に怒鳴られて私もアンタとおんなじような扱いを受けるようになるわよ。良かったわね、1人じゃなくなって。」