第4章 少しの間
「ん…っ…。」
「おや、起きたかい?」
「ん…。」
頭がボーッとする。まだ眠い、が、起きなきゃいけない。
「…」
目を擦り、ぼやける視界で時計を見た。午後7時45分。
「帰ら…ないと…。」
「もう少しここにいなよ。せめて、目が覚めるまで。その状態で帰ったら危ないだろう?」
「…ん…そうする…。」
寝ぼけていると、言われるがままになってしまう。
「…シエルに…怒られる…。その前に…セバスチャンさんに怒られる…。」
「ん~?どうしてだい?」
「あの人…変な人なんです…。」
「変?」
私はボーッとしながら話始めた。アンダーテイカーは、私の隣に座って、私を見ながら聞いてくれた。
「首に赤い跡みたいなの付けるし、シエルのおやつ作ってたときも指で生クリーム食べさせることになるし、書斎で清掃してるときだって…。」
ぶつぶつと独り言のように呟いた。
「…ふぅん…。それで、ドキドキしちゃったんだぁ?」
「当たり前だよ。あんなイケメンさんにそんなことされたら、心臓バクバクだよ。」
すると、アンダーテイカーが私をソファーに押し倒した。
「!…」
「妬けちゃうなぁ…。」
両手首を私の頭の上で固定した。しかも、アンダーテイカーは片手で。
「…え…っと…。」
徐々に目が覚めてきた。
「アンダーテイカー…?」
前髪をかきあげ、あらわになった顔。
「!…」(あ…れ…?)
頭の中で、記憶がフラッシュバックする。
「っ…!」(私は……この人を知ってる…?)