第5章 どうしてこうなった!?
「えっと……あのね、僕……吸血鬼なの……」
へえ。え?
「うわぁぁぁ言っちゃったぁぁなんか恥ずかしいぃぃ」
真紅が俺のベッドの上で、真っ赤になった顔を手で隠しながらゴロゴロと転げる。
「と、とりあえず落ち着けよ……」
なんでカミングアウトされた側の俺が冷静なのか。
「う、うん……燕くん引いてない……?なんだこいつ中二病かよとか思ってない……?」
「いや、その点に関しては問題ない。吸血鬼が存在するってことは知ってるから。」
なんだろう、端から見たら異様な会話なんだろうな。
「ふええ!?なんで!?」
「なんでって……俺も吸血鬼だから」
「えええええええええ!?」
また真紅が俺のベッドの上でゴロゴロ転げる。
「あっでも、前から思ってたんだ!燕くんは僕の知り合いのモデルさんの誰よりもカッコいいし、何より……匂いが違うんだ」
「匂い?」
「うん。うっすらする、血の匂い。燕くんのは、濃くて溶けそうな匂いなんだ!だから、普通の人じゃないなって。」
怪我もしていない人間から血の匂いが嗅げるのか。
「俺は人間と吸血鬼の混血だ。血の匂いまではわからない……お前、もしかして」
「うん、僕は純血らしいよ!ヨーロッパの……なんか長いカタカナのうちの直系だってさ。」
日本には確かうち以外に吸血鬼の一族はいなかったはずだが。
「それで俺にお願いって──もしや」