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たとえば君が鳥ならば【ニルアド】

第3章 初めての巡回-ジユウ-



「…………」



三人が顔を見合わせた後
微妙な面持ちで黙り込んでしまった。



「(…何かおかしなこと言った?)」



不安になってツグミちゃんを見ると、彼女はなんとも云えない表情で苦笑している。



「貴女も優しいんですね」



「え?だって…そんなことが起きたら、本を書いた人だって困るのでは…?」



「…まぁ、うん。そうだな」



「久世と同じこと言ってる…」



何処か言い濁す気配がして、私はそれ以上言葉を続けるのをやめた。



「詩遠ちゃん大丈夫?疲れてない?」



「大丈夫。心配してくれて有難う、ツグミちゃん」



「もし体調が悪くなったら言ってね」



「うん」



「もう少しだから頑張りましょう」



ツグミちゃんに励まされ、それから何件かまた書店を巡り──午後1時を指した頃。



「そろそろ飯にするか」



「だな」



「いつもの所でいいんじゃないかしら」



「そうだな。流石に初日から立ち食い蕎麦じゃ可哀想だし、立花もそれでいい?」



「はい」



✤ ✤ ✤


「俺達は、ここで飯を食うことが多いんだ」



「素敵なカフェですね」



そのお店は、まだ新しそうだった。



「(元の世界で私が通っていたカフェに雰囲気が似てる。それにお店の作りもこんな感じ…)」



窓際のステンドグラスには
綺麗な薄紅色の鳥が描かれている。



「あのステンドグラスの鳥、知ってる?」



尾崎さんに尋ねられ、頷いた。



「フラミンゴですよね」



「そう、フラミンゴ。この店の名前がそうなんだ、仏蘭西語。」



「ああ…だから『フラマンローズ』。確かにフラミンゴは仏蘭西語で『flamant』って言いますもんね」



「立花さん、発音が凄く綺麗ですね」



「そう言われるのは嬉しいです。仏蘭西に留学していたことがあるので自然と発音も良くなるんだと思います」



「聞いていて気持ちが良いわ」



「ありがとう」



私は恥ずかしそうに笑んだ。



「ご注文は如何なさいますか?」



「俺はビーフカレーとソーダ」



「俺はハヤシライスと珈琲」



「僕はサンドイッチとレモネードで」



「私はサンドイッチとミルクセーキで」



「(私は…どうしよう。)」



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