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たとえば君が鳥ならば【ニルアド】

第2章 新しい居場所-フクロウ-



「じゃあ朱鷺宮さんは女学校には通っていないんですか?」



「そうなんだ。うちは学者の家系でね、父親が面白がって小学校の後は留学させたんだ」



「留学ですか…!」



「確か隼人も亜米利加に行ってたんだよな」



「尾崎さんもですか…!」



「ああ、そんなに長く暮らしてたわけじゃないけど。やっぱり全然違って面白かったぜ」



「亜米利加かぁ」



「詩遠ちゃんは留学の経験は?」



「私は仏蘭西に短期留学した事があるよ。あとは旅行で亜米利加と英吉利にも行った」



高校卒業後、語学を学ぶ為にフランスに短期留学していた事がある。最初の頃は言葉の壁に悩まされ、上手くコミュニケーションが取れず、その度に何度も挫折を繰り返した。でも猛勉強を重ねた結果、日常会話以上の成果を身につけることに成功した。



「ツグミちゃんは?」



「残念ながらまだ一度もないの」



「そっか。日本とは違う世界を経験できるからとても勉強になるよ」



「もしかして英語が喋れたり…」



「一応ね」



「凄い!」



「英語はマスターしてる。仏語も話せるよ。まぁその分、苦労も多かったけど…」



「立花は何でも出来るんだな」



朱鷺宮さんの言葉に皆が頷く。



「あれ、旨そうなもの食べてる」



紫鶴さんが入口からひょっこり顔を出した。



「紫鶴!暇なら混ざれよ、寿司はまだあるから」



「そうなんだ、じゃあ遠慮せずにいただこうかな」



「飲むだろ?」



朱鷺宮さんが空いていた猪口にお酒を注ぎ、紫鶴さんに差し出す。



「もちろん飲むとも。…でもまぁ、また新しい子が見つかって良かったじゃないか、栞」



「そうなんだよ、最近は残念ながら色々仕事も増えてきたから…彼女が来てくれて本当に助かったよ」



「私の方こそフクロウに誘って頂いて本当に感謝してます」



「仕事もいいけど、僕とも遊んでね」



紫鶴さんは一気にお酒を干し
悪戯っぽく目を細める。



…いい加減、この人の性格にも慣れてきた



「紫鶴さんとは遊びません」



「おや、きっぱりと断るんだね」



「当たり前です」



「僕は君とお近づきになりたいだけなのに」



「全然近づかなくても、一定の距離を保ってくれていれば大丈夫です」



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