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たとえば君が鳥ならば【ニルアド】

第2章 新しい居場所-フクロウ-



「でも、こうして仲間になってくれて本当に嬉しいです。感謝してます。多分、一番嬉しがってるのは久世だと思いますよ」



「!」



「その久世も帰って来てるぞ」



扉に目を向けると朱鷺宮さんが立っていた。その隣にいたのは、あの日以来、会えなくなってしまったツグミちゃんもいた。



「ツグミちゃん!」



「詩遠ちゃん!」



彼女は嬉しそうに笑んで、私に歩み寄る。



「あのね…弟さんのこと聞いたよ」



「そう…」



「私なんかじゃ頼りにならないと思うけど、貴女の力にならせてね」



「!」



「私はアウラは見えないし、本に関してもそこまで詳しいわけじゃない。それでも貴女と一緒に頑張りたい。いいかな…?」



ツグミちゃんは嬉しそうな顔を浮かべる。



「もちろんよ。私も詩遠ちゃんの力になりたい。フクロウに来てくれて嬉しいわ。お互いに頑張りましょう」



彼女の優しさに胸がじんわりと温かくなるが、果たして彼女と同じように笑顔を作れて返せているかは分からない。



「さて、じゃあそろそろ出前取るか。今夜は新人歓迎会だ、寿司にしよう、寿司」



「じゃあ俺はこれで。お疲れ様でした」



「(あの時の…。そうだ、名前…!)」



作戦室を出て行こうとした男性に駆け寄り、至近距離で呼び止める。



「あの!!」



思ったより大きな声が出てしまった。それに驚いた彼は振り返って私を見ている。



「さっき名前を聞きそびれてしまって…!」



「…鴻上滉」



「鴻上さんは…お寿司食べないんですか?」



「ちょっと出掛けなきゃいけない用事があるんで。立花さん、明日から頑張って下さい」



「あ、はい…!」



鴻上さんは小さく頭を下げて出て行ってしまった。



「あいつはいつも付き合い悪いなー」



「済まないな、お嬢さん。悪意があるわけじゃないんだ。基本的につるむのが嫌いらしくてね、滉は」



「そうなんですね」



「一応、もう少し愛想良くしろとは言っておく」



「気にしないので大丈夫ですよ」



私は笑んでそう言った。



その後、ホールに移動して出前のお寿司をみんなで食べながら、自己紹介も兼ねて色々話すのはとても新鮮だった。



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