第2章 焦がれつづけて【ゴッホ兄弟・★】
「ねぇ、好きな人できたでしょ」
屋敷を抜け出し、『彼女』を忘れるために馴染みの娼婦を呼んだ。
裸体を隠すこともなく、妖しく微笑みかける。
情事から間もないせいか、その視線はどこかぼやけていて。
「ねぇそうでしょ」
「好きな人とは随分初心な台詞だな。
抱きたい女………だと言いたいんだろう」
「違うわ。
抱きたい女じゃなくて好きな人よ、身体じゃなくて心で求める相手」
「………下らないな」
さっとシャツを羽織る。
「帰るの?」
逃がさないとばかりに、むきだしの胸板に女の手が這う。
再び欲望が燻りはじめて、思わず苦笑する。
片脚を持ち上げ、そこに猛った自身をねじ込んだ。
「あああぁああぁっ」
女は悲鳴のような声を上げながら、身を捩る。
馴染むのを待たずに、速く激しく突き上げる。
「や………ぁっ!もっと、緩めて………!」
「よく締まるな、強引なのが好きなのか」
冷たく笑いながらも、速度を緩めることはしない。
「あんあんあんあん!」
圧迫感に耐えきれず、彼もまた熱を解き放った。