第6章 Red Grimm【アイザック⇋主人公】
夕食の買い出しに来ていたときだった。
野菜を売っていた恰幅のいい主人が、紅く色づいた林檎を手に取り。
「お嬢さん、林檎は如何かい? そら、おまけしておくよ」
「…………! 有難うございます」
「あぁそうそう、必ずあんたの想い人が傍にいる時に食べてくれよ。
じゃないと『魔法』に掛かったままになっちまうから」
「え………?」
(どういう事なんだろう………。)
「――アンタ、まだ買う物ある?」
その時、魚を買いに行っていたアイザックが戻ってきた。
「ううん、これで終わりだよ」
「それ貸しなよ。………持ってあげる」
そう言って、 ひょいと私が抱えていた紙袋を取った。
「ありがとう………、はやく帰らなきゃね」
「ん………、さっさと行くよ」
「う、うんっ」