Rein Carnation《進撃の巨人/ライナー》
第8章 Desire
「マネージャー!時間がありませんよ!」
「ああ、分かってる。日本人は急ぎ過ぎだよ、もっと余裕を持って・・・」
「マネージャーが時間に余裕を持たせて下さればこんなに急かしませんよ!さ、早く!」
昼時。
結衣の休暇から数日後。
デリケートな内容らしかったので詳しく聞いていないが、彼女は所謂、修羅場を経験したらしい。
頬に残る痣はだいぶ薄くなり、メイクで分からなくなるほどにまで治ったようだ。
「駅前のハンバーガーショップ!挟んであるパティは牛100%超粗挽き、それを挟んでいるバンズは外はツルッとして中はふんわり、レタスやトマトは有機野菜でソースはステーキ風ソース・・・!!!」
「はいはい、急ぐんだろう」
エルヴィンに背を押され、オフィスをバタバタと出ていく結衣と、フッと笑って後に続くエルヴィン。
財布を片手にチラシを見る結衣を横目で見つめる。
「でもなんかちょっと意外です」
「・・・ん、何がだ?」
「マネージャーってハンバーガーとか召し上がるんですね」
「もちろん。君の中の私はどんなイメージなんだ?」
エルヴィンが笑うと、エレベーターが1階につき、早足で会社の出口へ向かう。
「どんな・・・なんか、お洒落なレストランでしか食べないイメージ・・・」
「安くない男に見えてるってことかな?」
「まあ、そうなのかな・・・高嶺の花といいますか。女の子みんな、マネージャーに憧れていますよ」
そう言う結衣の肩に触れると、結衣がエルヴィンを見る。
そのまま耳を貸すように言えば、控えめに耳をエルヴィンに傾けた。
「その高嶺の花がこんなにアピールしてるのに靡かないのか?」
そうエルヴィンが囁けば、結衣は身を固まらせて耳を押さえてチラリとエルヴィンを見る。