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【黒子のバスケ】ブルーな愛情

第11章 優しさ


「あれ、久瀬?」


「………菅原くん…?」


俺は彼女に起きた異変に気づいた。
顔は青ざめ、体が小さく震えてすらいる。


「久瀬だよな?久しぶりだな~」

「あ……」

「何だよ、久々に会ったのになんか冷たくねぇ?」


親しみを持った笑顔を浮かべて近寄ってくる男に俺は警戒心を抱いた。

この笑顔は偽りだ。俺には分かる。
その薄っぺらい笑みは、以前、俺が浮かべていたものだから。


俺は瑠衣っちを庇うように前に出た。
その行動が気に食わなかったのか男が眉を顰めて睨んでくる。

しかし俺の顔を見た途端、パッと作り笑いを浮かべた。


「えっ!?モデルの黄瀬くん!?なんでコイツと一緒にいんの?」

「俺、友達なんで」

「友達!黄瀬くんが?久瀬の?」


何がおかしいのか、ケラケラと小馬鹿にしたように思える笑い声を上げ、にやついた顔をして言った。


「そんなこと言ってさぁ、

黄瀬くんも桃井狙いでしょ?」


その言葉を聞いた途端、瑠衣っちは顔を真っ赤にして、そして駆け出した。


「瑠衣っち!?」


俺が呼んでも止まってくれなくて。
瑠衣っちの後を追おうとしたとき、後ろから腕を掴まれ引っ張られた。


「黄瀬くん、あんなやつほっとけって~。アイツも、なんかあるとすぐ逃げるのは変わんねーんだな」


ニヤニヤしながらそう言うコイツに、殺意に近い怒りが芽生えた。
コイツの言ったことは、前にもこういう状況があったということを意味していて。


「ッ……離せよ」


今すぐ殴りかかりたい感情をどうにか抑えて、手を振り払い瑠衣っちを追った。
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