第28章 【番外編】マツノトクエスト 第二十七話
「仕方ないなぁ、カラ松兄さんに倒して貰おうと思ったけど,、姉さんもチョロ松兄さんまでなんでか居るしぼくも多少手を貸すよ」
とどまぁつ?
ん~、とどまぁつ、多少じゃない、普通に戦え。
やはりズルイやつめ。
トド松がお得意のダンスを踊り、ケロべロスの動きを停止させる。
「カラ松! こ、殺さないであげて……っ、ワンコ!!」
「じゃあ僕が眠らすよっ」
一緒にいたチョロ松が杖を翳し、何やら呪文を唱えると一瞬カラ松の攻撃に怯んでいたワンコ、もといケロべロスがストンと眠ってしまう。
「えー……私一人の時あんなに苦戦してたのにこんだけ人数いるとあっさりなのね……悔しくないし!」
「悔しいなら悔しいと言っていいんだぞナス子」
「ほんっと素直じゃないよね、昔っから」
チョロ松までも呆れ顔で私を見下ろしてくると、ケロべロスの首にぶらさがる鍵を取っていたトド松と、カラ松が驚愕した顔をしてチョロ松を見た。
「え、何二人共? 僕なにか変な事言った?」
「え、え……? チョロ松兄さん、今……ナス子姉の事昔っからって言った……?」
「俺も確かにこの耳で聞いたな。さすがに旅で出会ってそんなに日も立っていないのに出る台詞ではないだろう……ちょろまぁつ、お前まさか!」
あ、そうだったそうだった。
二人はまだチョロ松の記憶が戻ったのを知らなかったんだった。
「えーっと、色々あってチョロ松の記憶戻りました!!」
「色々って一体何が……」
この場で無理やりチョロ松の唇を奪いましたなど言いたくもないしバレたくはない。
説明など省いて呪いを無理やりに解いた訳だから別に悪い事ではないんだけどね。
でもやっぱりね、あれじゃん、恥ずかしいじゃん。
「さすがに呪いを解くのがキスだとは思わなかったからビックリしたけどね。でもあれはキスじゃなくて呪いを解く行為であってキスと言うカウントには入らないから!! いい? わかった?」
「あ、はい。そっすね」
これ普通女である私が言う事じゃない?!
何故チョロ松に念を押されるのかと……、くそぅこの自意識ライジング野郎。
初キスだか知らんが私を女子とカウントしたくないという事だけはわかるのでもう一度ハリセンでも食らわせて記憶どころか存在消してやろうか。