第28章 【番外編】マツノトクエスト 第二十七話
ケロべロス相手には戸惑う私も、チョロ松相手だと容赦なくその攻撃を振り下ろせる。
床にはチョロ松の死体もとい屍。
おおチョロ松よ、死んでしまうとは情けない。
は~、ちょっとすっきり。
いや、殺してないよ? HPかなり削っただけだから。
「う……ぐ……久しぶりの仲間の再会にこれ酷くない?!」
「黙らっしゃい、寧ろその台詞はこっちが言いたいくらいなんですけど。今まで、どこで、何を、どうしていたか詳しく聞こうじゃないの、ん~?」
部屋に設置された椅子に座り足を汲んでチョロ松を見下ろす。
あれ、そう言えば何でチョロ松は私が変装してるのに正体がわかったんだろう。
「仲間の、いや、元仲間と言った方が正しいのかな。同じ幹部の十四松に魔王城に戻されてトト子様に仕えてたんだよ、ももも、もちろんスパイとしてね?! 僕は伝説のパーティの一員でもあるし、こっちを裏切った訳じゃないから、ただあっちの情報を少しでも持ち帰ろうと思って……」
つらつら言い訳を述べるチョロ松は床に伏したままぶつぶつと自分が裏切った訳ではいないと主張している。
椅子に座り半ば面倒な顔をしてた私はそれよりも十四松の名前に反応した。
「十四松が幹部?」
「え、お前……十四松の事知ってるの?」
「あー……」
そうだったぁ、チョロ松まだ記憶戻ってないんだった。
もう今って動ける状態じゃないしコイツにムカついてるし、チョロ松だって抵抗も出来なさそうだから呪いを解くなら今がチャンスじゃない?
「チョロ松、ちょっと上向いて?」
「は? 何?」
うつ伏せに倒れていたチョロ松が仰向けに変わり起きれる状態ではないのをいい事に私は顔の横に移動し上から覗き込む。