第18章 【番外編】マツノトクエスト 第十七章
「うわっ、ちょっと! 重いんだけどー!」
「いいじゃん、たまには末っ子を可愛がったってさぁ、お姉ちゃんなんだし!!」
「そうやってぼくで残りの寂しさ埋めようとしてるだけなんじゃないのぉ?」
違います!いや、完全に違うと言えば嘘になるけど、トド松が記憶戻ってからこんなに心配してくれて、助言やアドバイスもくれて、珍しい事に優しくしてくれてたのもわかるからちょっと甘やかしたくなったんだけども。
「今日も一緒に寝ようよ、トド松!」
「えー、せっかくベットが二つもあるんだし狭いんだけど」
「お姉ちゃんのお願い!! 寂しいから一緒に寝てくだっさーい」
「…………っ、もう! ほんっとしょうがないな、このバカ姉は!」
ジトリと睨まれたが、仕方なくトド松は位置を横にズラし、私の入れるスペースを開けてくれた。
「その変わり今日もトイレ、付き合ってよね」
「へへへ、わっかりやしたぁ!」
なんて言ってる私達だけど、カラ松の報告を待たなければいけないのでまだ眠る事は出来ない。
眠くなってきてウトウトしていると、すかさずトド松の本の隅が私の頭を攻撃してくる。
「いったー!」
「寝ない! 我慢!!」
「現実世界よりも扱い酷くない?!」
「え、そう? ぼくはいつもと変わらないよ?」
「だからね、そんな澄んだ瞳で喋るのはやめなさいっ」
「ん?」
「くそ、その表情が私も出来たら魅了くらい簡単に出来そうなのに!!」
トド松は割と簡単にこなすけど、澄んだ瞳って意外と難しいな。
練習しようにもただの目を見開いた人になってしまう。
「まだまだ修行が足りないね、ナス子姉さん、ぷぷっ」
「あざとい修行とかあんのかい! それは末っ子だからこその技でしょ 〜」
むーっとなりながらトド松が読んでいる本に目をうつすと、何やら冒険者の写真が沢山載っている。
しかも、イケメン・美女ばかりでお洒落だ。