第18章 【番外編】マツノトクエスト 第十七章
「やっぱりカラ松も魔王の配下になる前の記憶はわかんないんだね」
「あぁ、いつの間にか城に居て、当たり前のようにトト子ちゃんの下僕になっていたからな……あれはあれで最高のシチュエーションではあったが……トト子ちゃんの下僕になる、オレェ」
「はいはい」
3人で記憶合わせ中、やはりトド松やカラ松は配下になる前の記憶はないとの事。
配役を与えられたとしてもそこまで細やかな設定は割り振られないのかと思うと今回はいくら作り込まれてないなぁとか思っても有難い。
逆に適当な小さな頃からここの世界にいます!みたいな記憶を勝手に与えれれてたらトド松も私の事信用してくれてなかっただろうし。
「しかしナス子が伝説の乙女とは……ハッハ~ン、ゲームとは何とミステリアスな事が起きるのか、俺達の中にレディがいないからこそその配役になったのだろうが……」
カラ松が口を押えて下を向いている。
あの表情はサングラスをしててわらりづらいけど、肩が震えているところを見るに絶対に笑ってる。
くそ、私だって好きでなった訳じゃないんだけど?!
「私だって本当は勇者の方が良かったんですー! おそ松ポジが良かったよ、ったくなんでアンニャロウが勇者なのか!!」
「それはぼくも同感! いっつもおそ松兄さんばっか目立ってズルイって言うの? プレーンなのに兄弟の中では贔屓されてる方だし……」
「いっそクーデター起こしておそ松殺る?」
キラリと目を光らせハリセンを構える私に乗り気になった末弟が腕に絡みついてくる。
「へへっ、姉さんったら今日はいつにも増して元気だねぇ!」
「俺も勇者の位置を取られたのは気に入らないが、俺は今のポジションを気に入っている、戦うのも力業で楽しいしな!フ〜ン」
カラ松の場合、酒飲んで体当たりするだけだしね。
「まぁ、それ言われちゃうとぼくも今の職業は気に入ってるんだけどねぇ」
結局トド松も可愛い踊り子の職業は気に入っているようで、部屋に入ると私が渡した簡素な装備に着替えるのだが、旅路は専ら踊り子衣装だ。