Little lieR【イケヴァン◆ifイベ原作】
第7章 儚い『安らぎ』
その夜。眠れずにいたレフィリアは、私室で書類の整理をしていた。
「レフィリア………起きているの」
控えめなノックのあと、耳をかすめたのはヴォルフの声。
「えぇ。今日はなんだか眠ってしまうのが勿体ない夜だから」
書類を一度木箱に納めると、扉を開ける。
そこには、優しい微笑みを浮かべる彼がいた。
「眠れないならついて来なよ。………準備もできてるから」
彼女の返答を待たぬまま、そっと手を掴んで。
「準備? いったい何のことなの、ヴォルフ………」
「いいから来なよ。………さあ」
差し出された掌に、ちいさなその手を重ねて。
彼に連れ出され、私室を後にした。
彼女が広間へと足を踏み入れた直後………。
パンッ、パンッ、パンッ………。
なにかが弾けるような音が響く。
「………やっと来たのか」
にやりとたしかな意思を感じさせる、ナポリオーネの笑み。
そこには。レオ、フィン、アーサー………そして側近の姿があった。
「セバスチャン、これは一体………」
「貴女の気晴らしになるように、彼らに協力して頂いたのですよ」
「レフィリア、………これを」
レオとアーサーに渡されたのは、繊細な細工のブローチ。
「素敵………。」
その美しさに彼女が目を奪われていると。
「まだサプライズは続くぜ?」
レオの言葉を合図に、ピアノの前に座ったヴォルフの指先で奏でられた旋律。