Little lieR【イケヴァン◆ifイベ原作】
第4章 涙の意味
世界が漆黒のヴェールに包まれた頃。
ランタンを手にした人影が、花々の眠る中庭に浮かび上がる。
(レフィリア………? こんな時間に?)
フィンはそっと、彼女のあとを追った。
中庭の最奥、白薔薇が自生する美しいところには―――ぽつんとちいさな墓がある。
………母の眠る場所だ。
「お母様………。」
生前の母を前にする時と同じように、微笑んだ。
「こんな暗い場所にしかお墓を作れなくてごめんなさい。
私がこの屋敷を守りきるまでは………」
花冠を手向けると、そっと墓石に触れる。
冬の冷たい風が母の声を運んできた………気がした。
「分かっているよ、お母様。
いくら過去を嘆いても
あなたも一族の方々も帰ってこないことくらい私にだって………」
「でも出来ることなら、はやくあなたのところへ逝きたい………」
辺りに自生する白薔薇を、なにも纏わない掌のまま摘む。
棘が刺さって、血が滲むのも構わずに。
………心を荒らすように、自身を穢すように。
乱暴に摘み取る彼女の手首を、何者かが捕らえた。