第21章 もしも願いが叶うなら…【轟焦凍/切甘裏夢】
「…もう一度、楓に会えるんですね」
楓に会える、そう思うと目頭が熱くなって涙が止まらなくなった。
「会えますが肉体の損傷具合が酷い…このまま生き返ると彼女はただ痛みに苦しむ為だけに生き返ることになってしまいます」
「そんなっ…それじゃあんまりだ…」
「私の知り合いの医者に、人の肉体を再生できる個性の人がいるのでその人に頼めば何とかなると思います。ただ…
「分かった、その人に頼んでくれ!明日の朝までに楓の身体を戻してもらうようにっ!!」
「ただその人、金にがめつくて…明日の朝までにこの損傷具合の身体を直せと言われると10億近い大金を要求されると思うのですが大丈夫ですか?彼女と過ごせる一日のためにそれだけの大金を支払えますか?」
「……金は俺が一生かけてでも払います。だから、お願いします。楓と明日を過ごさせてください。」
そう言って頭を下げると医者は
「身体の再生が終わったらご連絡致しますので連絡受けたら当院の523号室に来てください。その角部屋の個室に彼女を寝かせておくので彼女が目を覚ましたらどこへ連れて行っても構いません。
ですが、これだけは約束してください。夜中の12時までに彼女を元の病室に返すこと。じゃないと、夜中の12時に肉体再生の個性と彼女の生き返りの個性が切れて彼女の身体は元の遺体に戻ってしまいます」
「分かりました!よろしくお願いします。」
そう言って病室を後にして、俺は家に帰って楓にまた会えるのを楽しみに眠りについた。