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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第9章 【リディクラス!!】


「さあ、ネビルの次は君たちだからね。みんなよく想像してごらん。自分が一番恐れているものは何か、そしてそれをどう面白く変身させるかを。呪文はさっき言った通り『リディクラス』だ!それじゃあ、準備は良いね、ネビル」
「は……ははははい!」
「よし!それじゃあ開けるよ、それ!」

 ルーピン先生が洋箪笥を開けると、中からいつもと同じ真っ黒いローブに、べっとりとした黒髪、黒く、そして他人を見下す恐ろしい目つきをしたスネイプが立っていた。ネビルはそれを見て震えていたが、杖はしっかりと持っていた。そして上ずった声で呪文を口にした。

「リ、リディクラス!」

 突然パチンという音がしたと思ったら、なんとその場に立っていたスネイプの格好が、先ほどネビルが言った通りハゲタカのはく製の乗った帽子をかぶり、長いロングドレスを着て、左手にはこれまた派手な赤いハンドバッグを持った格好に変わっていた。それを見て、その場の全員が笑い転げた。

「よーし、よくやったねネビル。次、パーバティ前へ!」

 パーバティが前へ出ると、今度はスネイプではなく、頭のてっぺんからつま先まで包帯を巻いたミイラ男が現れた。パーバティは杖をミイラ男に向けると「リディクラス」と叫んだ。途端にミイラ男の包帯がスルスルと剥がれ、全裸になったシワシワの皮と骨だけの男が恥ずかしそうに胸と股間を隠した。

「上手い上手い、次、シェーマス!」

 シェーマスが前に出ると、今度はボガードは不気味な黒髪が特徴のバンシーに変身した。バンシーが口を開くと、この世のものとは思えない叫び声が部屋中に響いた。シェーマスが「リディクラス!」と呪文を唱えると、途端にバンシーの頭に真っ赤な鶏冠が生え「コケコッコー」と鳴き出した。

 生徒が変わるたびに、ボガートも姿を変えていった。クリスはそれを見ながらお腹を抱えて笑っていたが、ふと、自分が一番恐れているものは何かと疑問に思った。
 1番初めに頭に浮かんだのはルシウスおじ様だったが、心底恐れていると言うわけではない。次に浮かんだのは父様だったが、これもなんだか違う気がする。
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