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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第9章 【リディクラス!!】


 どっとスリザリンのテーブル席から笑い声が上がった。ネビルは下を向いて唇を噛みしめ、今にも涙をこぼさんばかりだった。その時、隣りにいたハーマイオニーが手を挙げた。

「先生、お願いです。私に手伝わせてください。ネビルにちゃんと調合をやり直させますから――」
「君もいつになったらでしゃばるという癖が治るのかね、ミス・グレンジャー」

 スネイプが鼻で笑うと、ハーマイオニーは挙げていた手を下げて真っ赤な顔で下を向いた。さらにスネイプは、この授業の最後に、ネビルのペットであるヒキガエルのトレバーにネビルの失敗作の薬を飲ませてどうなるか実験してみると脅した。そうすれば、ネビルも少しはやる気が出るだろうと言ったが、単なる嫌がらせなのは明らかだ。
 なんて嫌味な奴だと思いながらも、クリスは自分でドラコを手伝うと言ってしまった以上何も手助けすることが出来ず、歯がゆい思いをしていた。

「知っているかポッター、今朝の『日刊預言者新聞』で、シリウス・ブラックが目撃されたらしいぞ」

 クリスがドラコの死んだ芋虫を輪切りにしていると、突然声をひそめてドラコがハリーに話しかけた。クリスは耳を最大限まで大きくして聞いた。

「それがどうかしたのか?」
「おやおや、英雄のハリー・ポッターは自らブラックを捕まえようとはしないのかい?」
「どういう意味だ?お前には関係ないだろう」
「これは驚いた、ポッター、何も知らないのか?僕だったらこんな城に閉じこもってないで、1人でもブラックを捕まえに行くのに。ディメンターなんかには任せず、自分で復讐してやるのに」
「だから!いったい何が言いたい!」

 ハリーが怒った丁度その時だった、スネイプが皆に後片付けをするよう命じた。

「材料は全部加えたはずだ。あとは煮込んでいる間に各自後片付けをしておけ、その後――ロングボトムの薬を試そう」

 スネイプの底意地悪い声が教室に響いた。ハーマイオニーはネビルの横にぴったりくっついて、あまり口を動かさないようにして指示を与えていた。クリスもドラコの鍋に残っていた材料を入れると、顔も合わせずさっさと片付けにはいった。
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