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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第28章 【シリウス・ブラック】


 ハリー、クリス、ハーマイオニーの3人が杖明かりで穴の中を確認しようとした時、スルリとクルックシャンクスが中に入り込んだ。3人は顔を見合わせると、何も言わずハリーを先頭に穴の中に入り込んだ。
 トンネルは傾斜になっていて、底にたどり着くと、クルックシャンクスが尻尾を逆立てて先を歩いている姿が見えた。

「僕達を案内しようってつもりかな」
「ロンはどこなのかしら」
「先に進んでみよう。ここまで来たら『痛みなくして得るものはない』だ」

 狭いトンネルを、今度はクルックシャンクスを先頭に3人は身体をくの字曲げて進んだ。
 フレッドとジョージは、この先がどこに続いているか教えてくれなかった。だが、どうやら方角的にホグズミードに続いているとクリスは考えた。方向感覚でクリスが間違えた事は1度も無い。

 3人は黙ったまま先を進んだ。トンネルは長く、ハニーデュークスにたどり着く道と同じくらい長く感じられた。やはりトンネルはホグズミードに続いているんだとクリスは確信したが、ホグズミードのどこに続いているかは見当がつかなかった。
 しばらくトンネルを進んでいると、突然前を歩いていたハリーが止まった。どうやらゴール付近にたどり着いたらしい。杖明かりとは別に、穴の向こう側から小さな光がぼんやりと見える。
 上り坂を3人は慎重に進んだ。いつ何がどこから襲ってくるのか分からない。クリスは杖を構え、いつでも戦えるようにしておいた。

 慎重に穴の奥へと進むと、ボロボロの戸があり、開けると真っ暗な部屋に出た。何年も使われていなかったのだろう。埃まみれで、家具は壊れて使い物にならず、壁には引っ掻き傷が幾つもあった。窓は全て板で打ち付けられており、外からの光は入らないようになっている。突然、ハーマイオニーが短い悲鳴を上げた。

「ハリー、クリス。ここ……『叫びの屋敷』の中よ」

 ハリーとクリスは辺りを見回した。床はシミだらけで、傍に転がっていたイスは足がもがれ、かなり破損していた。とてもゴーストの仕業とは思えない。あのポルターガイストのピーブスでさえ、ここまでの破壊行動はとらないだろう。
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