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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第25章 【君が僕で、僕が君で】


 しゅん、と落ち込むネビルに、ロンはかける言葉が見つからなかった。確かに鍋が爆発して体が入れ替わってしまったのはネビルの所為である。しかしなってしまったものは仕方がない。これから頑張って汚名返上すればクリスだってきっと許してくれるだろう。

「そう落ち込むなよネビル。失敗したのは、なにもわざとじゃないんだし」

 しかし、ネビルはロンの話しを聞いていなかった。青ざめた表情で、温室の向こう側を指さしている。ロンが不思議に思ってネビルが指さす方を見ると、なんと厄介な事にドラコ・マルフォイがいつもの腰ぎんちゃくであるグラップとゴイルを連れてこちらに向かって歩いて来るところだった。
 ロンはとっさに隠れようとしたが、運の悪い事にマルフォイがこちらに気づく方が速かった。

「おやおやウィーズリー、そんな所で何してるんだい?そんな草を摘んで。大方実家に送って少しでも飢えを凌ごうってつもりかな?君の家ではいつも食べ物に困っているそうじゃないか」
「なんだと……」
「ロン、駄目だよ。マルフォイに係わっても良い事なんてないよ」
「ん?そこにいるのはクリスかい?どうしてウィーズリーなんかと2人っきりでいるんだい。そんな奴と2人きりでいるくらいならこっちに来るんだ」

 そう言って、無理矢理ネビルの手を取ろうとした。その瞬間、ネビルは反射的にその手を振り払ってロンの後ろに隠れた。

「いやだっ!離して!!――ロン、助けて……」
「ネビ――じゃなかった、クリス。大丈夫だから」

 自分の後ろに隠れたネビルを、ロンは庇う様にドラコの前に立った。その姿を見て、ドラコはショックを受けたような顔をしていた。
 血色の悪い青白い顔が、余計に青白く見える。知らないとは言え、クリスの姿をしたネビルに拒絶され、絶望に打ちひしがれていた。

「フ、フフフ……フフフフフ――」
「な、何?」
「そうかい、そこまでウィーズリーが良いって言うのかい。そうかい――」
「いや、そこまでは言って……」
「――――認めないぞ」
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