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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第24章 【ハーマイオニーの変貌】


「な……何て言ったんだ、ハーマイオニー。もう1度言ってくれないか?」
「ハグリッドが負けたの……バックビークは処刑されるって――たった今、手紙が送られてきたわ」

 どうやら聞き間違いではなかったらしい。ハリーは急いで手紙を受け取ると、クシャクシャになって涙で文字が滲んだ手紙を読んだ。

「ハーマイオニーへ……裁判は俺たちの負けだ、バックビークは処刑されるその日までホグワーツに居る事を許してもらった。お前ぇさんが俺たちの為に精一杯努力してくれたことを、忘れはしねぇ。本当にありがとう。――ハグリッドより」
「そんな……こんな事ってないよ」

 ロンはショックで打ちのめされた。いや、ロンだけではない。クリスもハリーも、勿論ハーマイオニーもショックで言葉が出てこなかった。
 こんな時、どうすば良いんだろう。ハグリッドの小屋に行って慰めの言葉をかけるか。いや、そんな事をしても一時の慰めにしかならない。ルシウスおじ様に手紙を出して、どうにかもう一度公平に裁判をやり直してもらうようお願いするか。いや、また裁判をしても無駄だろう。きっとおじ様はまた委員会を脅してバックビークを処刑させるに決まっている。なら――ならどうすれば良い?
 悩み苦しむクリスに、拍車をかける様にハーマイオニーが涙まじりの震える声で言った。

「もう無理よ、マルフォイの父親がどんな人か良く知っているでしょう。委員会はヨボヨボの年よりばかりよ。確かに控訴はあるかもしれないけど、きっと結果は同じよ。諦めましょう……」
「いや、諦めるのはまだ早い!」

 落ち込むハーマイオニーの言葉を打ち消す様に、ロンがきっぱりと言った。

「ハーマイオニー、もう君1人で抱え込む必要はない。僕が手伝うよ!」
「……ロッ…ロン!!」

 ハーマイオニーは、勢い余ってロンの首に抱きつくと、声を出して泣きだした。ロンは突然の事に戸惑いながらも、不器用な手つきで彼女のふわふわの髪を優しく撫でた。それから暫くして、やっとハーマイオニーがロンから離れた。するとロンはホッとした様に息を吐いた。
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