• テキストサイズ

ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第23章 【胸の棘】


 そして迎えた週末、ハリーは念の為『透明マント』を着てホグズミードを散策することになった。クリスは眠い目をこすりながら、大広間に下りて来た。そこではもうロンが待ちきれないと言った様子で朝食を取っていた。ハリーは極力嬉しくなさそうにしていたが、瞳が爛々と輝いているのは隠しきれていなかった。
 そんなにホグズミードは面白い所か?と自身に問いかけたが、答えは帰って来なかった。

 それから朝食を終え、ハーマイオニーが疑わし気にチラチラとこちらを見ているのを気にしながらも、クリスは2人がこれ以上馬鹿をしないように監視しなければならなかった。
 そしてハリーが玄関ホールで皆に別れを告げ、大理石の階段を逆戻りする所をバッチリ確認させると、ロンと一緒に“馬なしの馬車”に乗ってホグズミードへ向かった。

 ハニーデュークスで待ち合わせと言う事で、ロンとクリスは2人でお菓子の山を見ながらハリーが来るの待った。小一時間くらい経っただろうか、ちょんちょん、と背中を突かれたかと思うと、小さい声で「僕だよ」というハリーの声が聞こえた。

「思ったより時間がかかったな」
「仕方なかったんだ、スネイプがウロウロしててね」
「まあ良い、とにかく買い物だ!!」

 ロンはうきうきと店内を見て回った。その後ろを、クリスが追いかける。時々ハリーがどこにいるのか、こっそり確認しながらだったので、意外と神経を使う役回りになったと後悔した。それからこっそりハリーがローブの下から金貨を渡し、お菓子を買うのを手伝った。
 ゾンコの店でも同じような役回りをし、クリスはこの役目を引き受けた事を心底後悔した。そしてやっと郵便局へ行って、ロンが2番目の兄であるチャーリーにルーマニアまで手紙を送るフクロウを選ぶふりをしている時だけ、心が休まった。ここならハリーもロンも馬鹿な真似はしないだろう。

 そして3人で、折角なら『叫びの屋敷』を見に行こうとロンが言いだした。「まさかどこかから侵入する気じゃないだろうな」と言うと、ロンは「僕はそんな馬鹿じゃない」と言った。知らなかったとは言え、馬鹿呼ばわりされたクリスは面白くなかったが、次の瞬間、面白くなりそうな人物たちがやって来た。
/ 331ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp