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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第20章 【チョコチップクッキー】


 談話室を行ったり来たりしていたクリスだったが、早くしないとルーピン先生が1人っきりになるチャンスが無くなってしまうと思い、意を決してクリスは談話室を出て、真っ直ぐルーピン先生の自室に向かった。クリスは心の中で何度も言おうと思っていたセリフを心の中で繰り返し、震える手で入り口をノックした。
 すると中からルーピン先生の声がして、クリスの心臓はひっくり返りそうになった。煩いくらい鳴り響く心臓を抑えながら、クリスは自分に「大丈夫」と何度も言い聞かせた。そしてルーピン先生が扉を開くと、クリスは真っ赤な顔で、プレゼントを差し出した。

「あ、ああああの、ルルルルルーピン先生、ここここれ、すす少し遅れましたが、ククク、クリスマス・プレプレプレゼントです!」
「えっ、私にかい?」
「ははははははい!!」
「嬉しいな、ありがとう。良かったら部屋に入らないかな?何もお返しは出来ないけど、お茶くらいは入れてあげられるよ」
「あ、ありがとう御座います!!」

「やった!」と、心の中でクリスはガッツポーズをした。初めて入ったルーピン先生の部屋は、いろんな生き物が水槽やケージに入っており、その他に古い本や、羊皮紙の束が沢山重ねられていた。クリスは部屋の中央にある小さなテーブルに座った。

「そう言えば、クリスマスの日にもカードをくれたね。ごめんね、あの日は体調が悪くて顔も出せなくて」
「いえっ、気にしないで下さい!受け取ってもらっただけでも嬉しいです!!」
「ありがとう、君は優しいね。今お茶を入れるよ。アクシオ、ティーセットよ、来い!」

 先生が呪文を唱えると、引き出しにしまってあったティーセットが一式ぽーんと飛んできた。それから先生はヤカンを杖でつつくと、一瞬でお湯が沸いた。

「砂糖とミルクはどうする?私は甘いのが好きで沢山いれるんだけど」
「わわわ私も、甘いのは大好きです!」
「そっか。私たちは気が合うね」

 そう言ってルーピン先生が朗らかに笑うと、クリスはもう緊張と興奮で鼻血が出そうだった。自分でも分かる位、顔が真っ赤になっている。クリスは顔を上げられず下を向いていた。
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