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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第18章 【ナミダ・ナミダ・ナミダ】


「資料探しなら任せて、ハグリッド!しっかりとした弁護を打ち出し、バックビークが危険ではない事を証明するのよ!」
「ありがてぇ……でも無理だ。裏でルシウス・マルフォイが手を引いているんだ。『危険生物処理委員会』の連中は奴の言いなりだ。連中はマルフォイを怖がっている」

 やはり出てきたルシウス・マルフォイの名前。今まで散々お世話になっていてこんなこと言いたくないが、やはりルシウスおじ様は、目の上のタンコブだと思ったクリスだった。

「ダンブルドア先生に頼むのは無理なのかい?」
「あの方は、もう俺の為に十分すぎるほど手を尽くして下さった。本来なら免職のところを、首の皮一枚でつなぎ止めてくれた。それにディメンターやブラックの事や、他にもやるべきことが多すぎる。これ以上迷惑はかけられねぇ」

 ブラックの名前が出た瞬間、ロン、クリス、ハーマイオニーの3人はとっさにハリーの方を見た。ハリーがブラックの名前を聞いて、昨日のパブのやりとりを問いただしたらどうしようかと思った。しかし流石のハリーも、ハグリッドが打ちのめされている姿を見て、これ以上責める気にはなれなかったらしい。

「大丈夫よ、ハグリッド。必ず裁判は勝てるわ。だって私達がついているんですもの。私、前にヒッポグリフいじめ事件について本で読んだ事があるわ。その時は確かヒッポグリフは釈放されたはずよ」
「そうだよ、バックビークは危険じゃないって、僕ら証言台に立っても良い」

 ハリーとハーマイオニーの言葉を聞いて、ハグリッドはますます大声を出して泣きだした。そんな事は関係ないと言うばかりに、バックビークは動物の骨をバリバリとむさぼっている。ロンは気まずい空気に耐え切れず、口を開いた。

「あー……そうだ、お茶でも入れようか?きっと落ち着くよ」

 ロンは勝手知ったる他人の家と言う風に、バケツ程ある大きなマグカップを棚から取り出すと熱い紅茶を注いだ。ハグリッドはぽろぽろ涙を流しながら、それを一口飲み、テーブルクロス並みの大きいハンカチで涙を拭き鼻水をかむと、やっと落ち着きを取り戻した。
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